『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』タイトルの意味を解説

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ナマケネコ
これぞ不朽の名作!

皆さんこんにちは。ナマケネコ(@neko_namake)です。

今回は小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』をご紹介します。

映画『ブレードランナー』の原作としても有名な小説です。

まずタイトルがいいですよね。

いかにも海外SFという感じがしてとても魅力的です。

ですがタイトルがあまりにも謎めいていますから敬遠している方ももしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事ではあらすじのご紹介とタイトルの意味を解説しようと思います。

あくまでも私個人の見解なのでもし違う感想をお持ちになったなら是非コメントして下さい。

ネタバレはしていませんから安心して最後まで読んで下さいね。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

  • 受賞:1968年ネビュラ賞ノミネート / 1998年ローカス賞
  • 作者:フィリップ・K・ディック
  • 発行年:1968年
  • ジャンル:SF
  • 一言:『ブレードランナー』を観る前に!

あらすじ

第三次世界大戦後、地球は放射能により汚染されていた。生物は厳重に管理されている一方で、科学技術の発達により本物と見分けがつかない造られた人口生命体が社会に浸透していた。高額な本物の生物を所有することが地位の象徴となるため、賞金稼ぎのリック・デッカードは火星から逃亡してきた莫大な懸賞金がかけられているアンドロイドたちを狩り始める。「人間とは何か」ということを提起しているフィリップ・K・ディックの不朽の名作!

原作と映画どっちから?

オカ メイコ
オススメは原作からよ

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

このタイトルは本当に衝撃的でした。

こんなに惹かれるタイトルは中々ありませんよね。

映画『ブレードランナー』の原作としても有名なこの小説は1968年にアメリカのSF作家、フィリップ・K・ディックによって書かれました。

『ブレードランナー』は観たけど原作は読んでない方は一度読まれることをおすすめします。

もしくは映画と原作両方未見の方は先に原作を読んだ方が世界観を理解する上で楽かなと思います。

というのも映画と原作では全然とまではいきませんが、結構設定やストーリーが違うんですよね。ですが基本の世界観は一緒なんです。

ところがその基本的な部分の説明が映画ではあまりされていませんので、原作で前知識を得てからじゃないと少しわかりにくいかなと思いました。

だからまずは原作を読んでから映画を観るという順番がおすすめです。

映画と原作の違いについては映画のレビューの方で触れていますので、ここからは原作小説についてレビューをしていきたいと思います。

映画『ブレードランナー』のレビューはこちら!↓↓

タイトルの意味とは?

この目を引くタイトル。ここが一番気になる部分という方も多いのではないですか?

私の場合タイトルの謎を解きたくて読んだようなものです。ですがそんなに気負わなくても読めばわかるようになっていましたね。

といっても明示されているわけではありませんから様々な解釈ができると思います。

だから私なりの解釈を記していきますね。

人間とアンドロイドの違いとは

まずタイトルの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』自体の意味。

これは簡単に言えば「人間とは何か」ということだと思うんです。

(生きている人間は羊の夢を見るが)アンドロイドは電気羊の夢を見るか? ということですね。

ということですねって言われてもこれだけだと意味がわかりませんよね。

ではもう少し踏み込んでみます。

「電気羊」の「電気」要素は必要?

気になる部分は「電気羊」の部分、なぜここが生きている「羊」ではなくて造られた「電気羊」なのかということですが、ちゃんと理由があると思います。

そもそも「電気羊」が何なのかというとですね、この物語では戦争の影響で動物や虫は絶滅の危機に瀕しています。

そのせいで生きている動物や虫は高値で売買されているんですね。

そこで高額の本物の動物を飼えない人たちのために、安く造られた電気動物がいます。

安く造られたといっても本物と見分けがつかないほどのクオリティなのですが。

つまりタイトルの「電気羊」とは単純に命があるように見える無生物の代名詞だとみてもいいと思います。

話を戻しまして、なぜ「電気羊」なのかということですが、それにはこの物語の軸である人間とアンドロイドを区別する”感情移入”が関わっています。

人間は生物にはもちろん、無生物にも程度の差はあれど感情移入することができます。

まるで生きているかのように振る舞う物であればなおさらですね。

ではアンドロイドはどうでしょう。

作中ではアンドロイドは生物にも無生物にも感情移入出来ません。

怪我をしようが死のうが壊れようが可哀想とも思わないのです。

そこが人間との決定的な違いだと作者であるディックは考えているようです。

逆に言うと見た目は関係なく、他者を思いやれるならそれは人間とどこが違うのかと言いたいのだと思います。

つまり人間は自分たちと同じ生きている物、あるいは生きているように見える物の夢を見るけど、アンドロイドは自分たちと同じ造られた物の夢を見ますか? 夢の中で一緒に遊んだり走り回ることがありますか? もしあるなら人間とアンドロイドの違いは何でしょうか? と問いかけているんだと思います。

だから「人間」に対する「羊」ではなく、「アンドロイド」に対する「電気羊」なのですね。

つまりタイトルの意味とは

「人間」と「アンドロイド」は何が違うのですか? という問題提起のように思えます。

もし夢を見たり他者に感情移入出来る様な造られたモノがあったとしたら、それは「人間」とは違うのでしょうか? ということではないでしょうか。

このタイトルにはそういう思いが込められている様な気がします。

オカ メイコ
私も中の人などいないから人間と同じよ!

簡単に内容紹介

核戦争によって人間が住むのに適さなくなった地球では、火星への移住が推奨されています。

そして火星への移民には無償でアンドロイドが貸与されます。

しかし労働力として利用されるアンドロイドの中には反乱し地球へ逃亡してくるものもいます。

主人公のリック・デッカードはそれらを始末する警察公認の賞金稼ぎなんです。

冒頭でリックは周りにバレないように「電気羊」を飼っています。

本物の動物を飼うのがステータスであり、人間であることの証明にもなるからです。

というのも本作のアンドロイドは外見では人間とは区別できないほど精巧に造られていて、人工の記憶も簡単に移植できるので、造られた環境によっては本人ですら人間だと思い込んでいるほどなのです。

だから自分が生物を飼っている=生物に感情移入できる=人間であると周りに言えるのですね。

ところが第三次大戦後の世界である本作では、放射能の影響であらゆる動物の絶対数が減っています。

そのため本物の動物は高値で取引されており、造られた動物である「電気羊」しか飼っていないリックは本物の動物を飼うために懸賞金のかかっているアンドロイドを始末していく……。

というところから物語は始まります。

リックが自分もアンドロイドではないかと葛藤するシーンや終盤のアンドロイド達が無感情に生き物に危害を加えるシーンなどからわかるように、ディックは人間とアンドロイドの違いを書き切りました。

ディックの世界が荒唐無稽と言えなくなってきた現代におすすめの一冊です。

未来を暗示している?

この作品は1968年に出版されていますが、2018年の現在にも通じる問題を提起しています。

作中に名前こそ出てきませんが、今後私達が直面するであろう人工知能、即ちAIの問題を、それを利用するアンドロイドという形で表しています。

AIを利用することが実用的になってきた昨今、一体どこまでをAIに任せればいいのか、またどこまで信用できるのか、実務的な部分ではAIによって仕事を失う人もいるでしょうし、この話のように人間と区別がつかなくなった場合に無機物として簡単に廃棄処分できるのかという人間の本質に迫るような問題も出てくるでしょう。

AIに関わる様々な問題が容易に想像できます。

ディックは1968年にすでにそれらのことを予見していたのです。

作中には他にもいくつかガジェットが出てきますが、そのどれもが現在の私達が利用している物を想起させます。

ディックの先見性を賞賛すべきなのでしょうが、逆に私達の方がディックの世界に近づいているのでは、などという錯覚を起こしてしまいそうになります。

ディックが思い描いた空想の世界が、我々の現実の世界になる日も近いかもしれないですね。

まとめ

「人間とは何か」といった永遠の問いかけに、確かな慧眼をもって見事に答えを導き出した不朽の名作です。

ディックの作品の中では読みやすいと思いますので、初ディックとして最適な一冊ですよ。

ナマケネコ
興味が湧いたら読んでみてね

『ブレードランナー』を見たい方はこちらからどうぞ

本作品の配信情報は2019年3月時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況については各動画配信サービス(VOD)のホームページもしくはアプリをご確認ください。
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カテゴリーSF

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