【ネタバレ】『リプレイ』ケン・グリムウッドのあらすじとレビュー

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『リプレイ』

  • 1988年度 世界幻想文学大賞
  • 作者:ケン・グリムウッド
  • 発行年:1987年
  • ジャンル:SF
  • 一言:ループものの傑作です。

過去に戻りたいと思ったことがありますか?

おそらく多くの人が一度ならず何度も思い描いたことがある人類普遍の願望でしょう。

戻りたいと思うきっかけは無数にありますよね。

受験に失敗したとか大切なものを失ったとか、はたまた恋愛関係のもつれとか色々あるわけです。

そういう風に大抵の人は失敗や後悔をしながら人生を送っていますよね。

それでも過去に戻れない以上はその失敗や後悔を今に活かしながら過ちを繰り返さないように生きていくしかないわけです。

あの時こうしていたら、あそこでこうやっていれば。

今の記憶を持ったまま戻れたら絶対にうまくいくのにと思ったことがある人も多いのではないでしょうか。


ケン・グリムウッド『リプレイ』(杉山高之 訳)(新潮文庫)

この本ではそういった誰もが夢を見る、記憶を持ったまま過去に戻り人生をやり直す男の話が描かれています。

このテーマには多くの作家が挑み、名作怪作を生み出し続けています。

1987年発表の『リプレイ』は、後年の作家たちに多大な影響を与えた作品と言われており、前述の名作怪作を読む前に一度は読んでおきたい珠玉の一冊だと思います。

それではあらすじを見ていきましょう。


あらすじ

ニューヨークの小さなラジオ局でディレクターをしている43歳のジェフ・ウィンストンは、妻と電話中に心臓発作で死んでしまう。しかし気が付くと18歳に戻っていた。「未来の記憶」を頼りに、二度目の人生で富と名声を手にしていくジェフ。ところが一度目の人生と同じ日同じ時刻にまたもや心臓発作で死んでしまい、気がついたら18歳に戻っていた。果たして時のループを抜け出せるのか。繰り返される人生のなかでジェフは何を見出すのか。「過去」にとらわれていた男が「未来」に目を向け「今」を歩き出す。

※これより先はネタバレになるので、ここまで読んで気になった方は先に『リプレイ』をご一読ください。


ストーリーを解説

あらすじからもわかるように、「リプレイ」が起こるのは一回だけではないのです。

主人公は何度も人生をやり直します。

「リプレイ」の一回目でも二回目でも同日同時刻に死亡し、死を免れられないと悟ったジェフは、三回目で自暴自棄の生活を送るようになります。

しかし今までの人生では記憶に無い『星の海』という映画を観て、自分と同じように「リプレイ」をしている人間が作ったのではないかと思います。

なぜなら監督はスティーブン・スピルバーグ、創作顧問および特殊効果監督はジョージ・ルーカスであり、二人ともまだ『ジョーズ』も『E.T.』も『スターウォーズ』も作っていないので、この時代ではそれほど有名ではなかったからです。

そこで映画の脚本家であるパメラ・フィリップスに会ってみると、パメラもやはり「リプレイ」を繰り返している人間だとわかり、情報を交換しあいますが、意見が合わず離れ離れになります。

その後再開してからはお互いを理解し合い、今後の「リプレイ」において良きパートナーになります。

ジェフとパメラは「リプレイ」を繰り返す中で、毎回同じ時間に戻るのではなく、「リプレイ」二回目では一回目の数分後、三回目では数カ月後、その次は数年後といったように、加速度的に戻ってから死ぬまでの時間が短くなっていることに気づき、「リプレイ」の原因を探ろうとしますがなかなかうまくいきません。

徐々に短くなる「リプレイ」のせいで二人の時間がずれていき、それぞれお互いの人生を歩み始めます。

その後ジェフは、何度か「リプレイ」を経て、死と覚醒が急速に交代をし続ける、永遠ともいえる「リプレイ」を繰り返します。

しかし気が付くと痛みは受話器をわしづかみにした手からくるものだけになっていました。

受話器の向こうでは妻の声がしています。時計を確認すると、死亡予定時刻から一分過ぎています。そのまま見つめているとまた針が動きました。

ついにジェフは「リプレイ」から抜け出したのです。

パメラにも確認を取り、「リプレイ」が夢ではなかったことを確かめたジェフは、待ち焦がれていた未来が今自分の目の前に広がっていることに気づき、可能性は無限だと知ります。

込められたメッセージとは?

この本を通じて本当の幸せや自分の人生の意味というものを作者は伝えたかったのではないでしょうか。

読後は清々しいの一言で、もう少し頑張って生きてみようと思える傑作小説です。

自分の周りにある何気ない物事がほんの少し違って見えるようになりますよ。


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カテゴリーSF

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