これを読まないとループ物は語れないね
皆さんこんにちは。ナマケネコ(@neko_namake)です。
今回は小説『リプレイ』についてご紹介します。
世界幻想文学大賞を受賞したループ物の傑作といえるレベルの作品です。
一時期ループ物が流行ったのでループ物に触れたことがある方は多いと思いますが、海外作品という事で手に取るのを避けてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ネタバレをしつつ本作品をご紹介しますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい。
『リプレイ』
あらすじ
ニューヨークの小さなラジオ局でディレクターをしている43歳のジェフ・ウィンストンは、妻と電話中に心臓発作で死んでしまう。しかし気が付くと18歳に戻っていた。「未来の記憶」を頼りに、二度目の人生で富と名声を手にしていくジェフ。ところが一度目の人生と同じ日同じ時刻にまたもや心臓発作で死んでしまい、気がついたらまた18歳に戻っていた。果たして時のループを抜け出せるのか。永遠に続くかと思われた時の牢獄の中でジェフ見出した一筋の光明とは。「過去」にとらわれていた男が「未来」に目を向け「今」を歩き出す。
過去に戻れたら
過去に戻りたいと思ったことがありますか?
おそらく多くの人が一度ならず何度も思い描いたことがある人類普遍の願望でしょう。
戻りたいと思うきっかけは無数にありますよね。
程度の差こそあれ、大抵の人は失敗や後悔をしながら人生を送っています。
受験に失敗したとか大切なものを失ったとか、はたまた恋愛関係のもつれとか色々あると思います。
それでも過去に戻れない以上は、再び過ちを繰り返さないように過去にした失敗や後悔を今に活かしながら生きていくしかないわけです。
あの時こうしていたら、あそこでこうやっていれば。
今の記憶を持ったまま戻れたら絶対に上手くいくのにと思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
この本ではそういった誰もが夢を見る、記憶を持ったまま過去に戻り人生をやり直す男の話が描かれています。
このテーマには多くの作家が挑み、名作怪作を生み出し続けています。
1987年発表の『リプレイ』は後年の作家たちに多大な影響を与えた作品と言われており、他のループ物を読む前に一度は読んでおきたい珠玉の一冊だと思います。
※これより先はネタバレになるので、ここまで読んで気になった方は先に『リプレイ』をご一読ください。
ストーリーを解説
あらすじからもわかるように、「リプレイ」が起こるのは一回だけではないのです。
主人公は何度も人生をやり直します。
「リプレイ」の一回目でも二回目でも同日同時刻に死亡し、死を避けられないと悟ったジェフは三回目で自暴自棄の生活を送るようになります。
しかし今までの人生では記憶に無い『星の海』という映画を観たことで、ジェフの運命は大きく変わり始めます。
ジェフはこの映画を見た事で、自分と同じように「リプレイ」をしている人間がいるのではないかという考えに至ります。
なぜなら監督はスティーブン・スピルバーグ、創作顧問および特殊効果監督はジョージ・ルーカスであり、2人ともまだ『ジョーズ』も『E.T.』も『スターウォーズ』も作っていないので、この時代ではそれほど有名ではなかったからです。
リプレイを繰り返している人を見つけ物語は動き出す
まだ有名ではない2人がタッグを組んで今までの人生ではなかった映画を作っている、という事に疑問を感じたジェフは、映画の脚本家であるパメラ・フィリップスに会ってみます。
そこでパメラもやはり「リプレイ」を繰り返している人間だとわかり情報を交換しあいますが、意見が合わず離れ離れになります。
その後紆余曲折を経て再開してからはお互いを理解し合い、今後の「リプレイ」において良きパートナーになります。
このままでは戻った瞬間に死ぬことに
ジェフとパメラは「リプレイ」を繰り返す中で、毎回同じ時間に戻るのではなく「リプレイ」二回目では一回目の数分後、三回目では数カ月後、その次は数年後といったように、戻ってから死ぬまでの時間が加速度的に短くなっていることに気づき、「リプレイ」の原因を探ろうとしますがなかなかうまくいきません。
徐々に短くなる「リプレイ」のせいで二人の時間がずれていき、それぞれお互いの人生を歩み始めます。
その後ジェフは何度か「リプレイ」を経て死と覚醒が急速に交代をし続ける、永遠ともいえる「リプレイ」を繰り返します。
しかし気が付くと痛みは受話器をわしづかみにした手からくるものだけになっていました。
受話器の向こうでは妻の声がしています。
時計を確認すると、死亡予定時刻から一分が過ぎています。
信じられないジェフはそのまま時計を見つめ続けます。
するとまた動き出す時計の長針。
ついにジェフは「リプレイ」から抜け出したのです。
パメラにも確認を取り、「リプレイ」が夢ではなかったことを確かめたジェフは、待ち焦がれていた未来が今自分の目の前に広がっていることに気づき、可能性は無限だと分かったところで物語は終了します。
まとめ
この本を通じて本当の幸せや自分の人生の意味というものを作者は伝えたかったのではないでしょうか。
読後は清々しいの一言で、もう少し頑張って生きてみようと思える傑作小説です。
未来は自分自身によって良くも悪くも変わります。
もちろん理不尽なことはあり、自分の力が及ばないことも多くあります。
人生はそんなに簡単ではないことも分かっています。
ただ自分の心がけ1つで未来が変わることがあるというのも事実です。
もし少しでも迷っていることがあるならこの本を読んでみて下さい。
自分の周りにある何気ない物事がほんの少しだけ違って見えるようになりますよ。
前向きになれる小説ヨ
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